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残響の熊野 牛尾武 素描展より 

牛尾武素描展『残響の熊野』に寄せて

ここ数年で田辺の街並みは大きく変化しました。
毎日何気なく見ていた風景も、
取り壊されて初めてその価値に気付くことがあります。
次世代に残したい田辺の風景。
それを探すところからこの企画はスタートしました。

高山寺の曽我部大剛さんを先頭に、
私たちは田辺と熊野のあちこちを歩き回りました。
そこに見えてきたものは、
昭和の暮らしが色濃く残る路地であり、
城下町の面影であり、
熊野詣のにぎわいでした。

曽我部住職の選ぶ風景は、私たちのノスタルジーにとどまらず、
この土地の持つ歴史の厚みを感じさせる場所ばかりでした。
牛尾画伯の目は、非破壊検査装置のように地層を切り取り、
人々の記憶の中にある田辺と熊野に光を当ててくれました。

目を開いていても見えないものを、
絵画は再現することができます。

三人の取材の中頃のこと。
熊野古道の高台から田辺湾を振り向いたとき、
私たちはそこに縄文時代を思わせる岬を見ました。
現代の市街地は広大な干潟の一部であり、
熊野の森は縄文の森の一部だったのです。
時の彼方から打ち寄せる波音が聞こえるかのようでした。

この展覧会を通して、皆様が遥かな時間旅行をし、
そこに生きた人々の暮らしを感じて下されば、
これほどうれしいことはありません。
どうぞよいひと時をお過ごし下さい。

一般社団法人 田辺市熊野ツーリズムビューロー会長 多田稔子


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